くらす和晒 エッセイNo.2 「ひぐらし鳴く日に、夏の涼。」
デパート勤務である以上、世間と同じタイミングでの休みは難しい。
休暇は、昔ほど取りにくいことはないけれど、それでも盆暮れ正月、GWは昔から休みが取り難いのは変らない。
それが当たり前だと想ってきたし、それに不満もない。
夫の誠は、飲食系の店舗開発の会社に勤めているので,休みはカレンダー通り。
遠方の場合、出張も数か月に渡る場合、会社の借り上げマンションで単身赴任も多いため家事も一通り出来るし、今じゃ料理は私より上手なくらい。
息子たちが幼いころは、友達の家族が大型の休みを使って家族旅行などを楽しんでいるのを申し訳なく感じていたけれど、その間、主人は「男旅」と称してキャンプやスキー、登山や水上アクティビティなどに連れ出してくれた。
私はと言えば、人様の大型連休と何週かずれた時期に休みを貰い、正月とGWは、一泊二日で旅行に出かけ、夏は、主人と私の実家の墓参りで帰省をして。
私も主人も郷里は、同じ県ではないけれど雪深いところで。
絵に描いたような田園風景が広がる田舎だから、もちろんご近所付き合いも残っている。
そんな地域だから、正月や盆休みの親戚が集まる席に現れない私たちのことで肩身の狭い想いだってしたはずなのだけれど、親に恵まれたのかそのことで責められることは一度もなかった。
「あんたたち家族が仲良くやってくれているならそれが一番だ」
義父は、帰省のたびにそう言ってくれて、義母もそれに頷いてくれて。
自分たちのことで必死で、親孝行もできていない私たちに優しい言葉をくれる。
だからこそ、墓参りだけは結婚してから欠かしたことはない。
お盆から遅れた墓参りは、息子たちが高校生になるまで続いていたけれど、彼らも彼らの世界があり、主人と私だけの帰省になった。
私の両親も少し寂しそうにしながらも「それが成長だ」と、息子たちの成長の自我を喜んでくれていた。
もう、八月。
今年も暑い日が続いている。
七十を超えた両親たちは、TVの節電の呼びかけをきちんと守り、エアコンを極力使用せず、扇風機や換気で涼をとっている。
昨年、義母が熱中症の症状が出て、義父が慌てて病院に連れて行ったと言うことがあった。
主人と私で、「まずは命。本当に暑い時はエアコンをつけて。」と懇願したけれど、両親くらいの世代は、息子の反抗期くらい頑固で。
今年も暑い夏を過ごしているんだろうと考えると頭が痛い。
それでも、どうにか少しでも涼しく過ごして欲しい。
帰省には、手土産に水ようかんの詰め合わせを準備し、今年は特別な贈り物を用意することにした。
少しでも「涼」を感じて欲しいから、和晒のステテコを用意した。
父たちには、和晒のストライプ柄とカーキカラーをセットにして。
母たちには、小紋手拭いで作った和晒のピンクとパープルをセットにして。
洗濯するたびに着心地が良くなる優しい柔らかな生地と、裏地の和晒ガーゼの通気性と汗をかいてもべたつかない肌触りは、夏の外出着としても家の中のくつろぎ着としても活躍することは間違いない。
何より、私も主人もこの夏、この和晒のステテコデビューをしてもう手放せなくなっている。
主人は、Tシャツやポロシャツに合わせているし、私は、キャミソールにシフォンの長袖シャツと合せてちょっとしたお出かけ着として大活躍しているのだから。
新しいモノを取り入れる、新しいコトを始めるには、ほんの少しの勇気が必要。
私たちでもなかなか一歩が踏み出せないことが多いのだから、親世代なら一歩も二歩も踏み出せないに違いない。
それならば、「私が想う、良かったモノ」を大切な両親に贈ろうと想った。
使えば使うほど、生地が柔らかくなり、着心地が良くなっていく和晒の商品なら、モノを大切にする両親たちにピッタリじゃないかと。
両親たちの笑顔を想い浮かべれば、この暑さも!と、言いたいところだけれど、やっぱりこの暑さには叶わない。
駅の改札を出て、想う。
「早く家に帰ってシャワーを浴びて和晒のステテコに包まれたい」って。
和晒ガーゼのステテコ 一覧はこちら
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